重症ティルトの治療法:長く続く苦痛を乗り越えるには【ハースストーン バトルグラウンド】

その他

精神が乱れて理性的な判断がしにくくなるティルトは、長くプレイしていれば誰でも経験するものです。報われない結果が続いた時に動揺せずに最善を尽くし続けるのは難しく、これをうまく乗り切れるかどうかは勝率に大きく影響します。

ティルトは軽症で済むこともあれば重症になって長く続くこともある風邪のようなもの。長く続くと大きな負荷がかかります。ティルトのことを知っておき、ティルトになったときに自分に何が起こっているのかが分かれば対処できます。ティルトの症状・原因・予防・治療について書きます。

ティルトとは

ティルト(tilt=傾き)とは、精神が乱れて集中力を欠き理性的な判断がしにくくなる状態のことです。感情が湧き出てきてそれがゲームでの判断に影響を及ぼします。ゲームでは結果に依存せずに最善を尽くせるかが重要ですが、それを左右するメンタルの問題です。これは知識・戦略と同じくらい重要なことです。メンタルが安定していなければ戦略を知っていても安定して運用できませんから。

ティルトは風邪のようなもので、軽い時と重い時があって回復するまでにかかる時間は様々です。そのゲーム中や数戦中に治ることもあれば、1週間や2週間(140戦程度)経っても治らず重症化するケースもあります。風邪と同じで完全に治っていないのに無理をするとぶり返して再び悪化したりもします。

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症状

判断力が鈍る

勝てている時と同じようにプレイしているのに負け続けるということはあります。丁寧に考えて判断したプレイが、運の悪さなどが重なって報われないことがあまりに長く続くと自信を失い、それが本当に正しいのか分からなくなります。「このレベルのミニオンは買って良い、このレベルで妥協してはダメ」といったボーダーラインが曖昧になり、目が濁りだします(勝てている時というのはそれほど迷いません。はっきりと必要なものが見えるので、それを淡々と買っていくだけです)。結果に目が眩んで錯乱し、どうプレイして良いか分からなくなります。

結果が悪いからといってプレイを簡単に変えてはいけません。結果的に悪い方向に進んでいるだけでプレイ自体は正しい場合はあるからです。プレイが悪いのか、ただ結果的に悪くなっているだけなのか、それが分からないので結果に依存してプレイを変えると変な方向に進み出すことがあります。ボーダーラインが見えにくくなって確固とした軸がない不安定な状態では一貫性がなくなります。自分で判断ができないので、他の人が酒場グレードを上げているから自分も上げるというような他人任せだったり安易だったりする行動をします。

大きなストレスを感じる

判断力が鈍っている状態で、冷静であろうとして感情(動揺)を抑え込みながら、信じるプレイをし続け、報われない結果を見続けるというのは負荷がかかります。いつ終わるかも分からないそれが長く続けばストレスは大きくなり、お腹がそわそわしてくるほどです。動揺によって判断力が鈍ってプレイが不安定になっている上にストレスがかかることで、さらに負けやすくなります。

最初の方の連敗のきっかけは不運の連続だったかもしれませんが、この時点で自分を原因とした負けが発生するようになります。その境目に冷静さを欠いている状態では気づきにくいです。

重症化する

負け続けていて勝ちたいという気持ちが強いほど、勝てません。勝つために重要なのは、集中してゲームのこと・盤面のことですっかり頭を満たすことです。「勝ちたい」「負けたくない」などと思うことは勝つために必要なことではなく、むしろプレイを妨げるノイズです。

勝てない時というのは、負けたゲームのことを次のゲーム中にまで引きずってそれを思い出して不満を言っていたり、勝ちたいという気持ちが出ていたり、負けを極端に恐れていたりします。あまりに負けすぎると、少し不利な盤面になるだけで負けるシーンがフラッシュバックします。まだ粘れるのに「これはもう負けかも」などと考えて諦めが出て投げやりで雑なプレイなったりするんです。このようにプレイ中のゲーム以外のことを考えて完全に集中できていないとさらに負けやすくなります。勝つために必要なことができていません。

こんな流れで負け続けていて勝ちたいという気持ちが強いほど、かえってそこから抜け出せない悪循環になり重症化します。ある程度勝たなければ納得できず終われませんが、それはいつまでたっても来ない状態になります。

プレイする気がなくなる

ティルトが長引いて重症化すると、「ゲームをプレイすること」と「嫌な体験、楽しくない体験」を脳や体が結びつけてそう認識するようになります。動物は嫌な体験はなるべく避けるようにできているので、ゲームをプレイする気がなくなります。他の嫌な体験にならない行動をしている方が良いわけです。

ティルトの初期では、「負けを取り戻したい、イライラしている」という熱意があってゲームへのモチベーションは高くなります。それが重症化すると「嫌な体験はしない」という判断になり、熱意を失います。

原因

  • 不運・理不尽(なように見える)による負け、それの連続
  • ミスをする、それを原因とする負け

このようなことが原因で何か心に引っかかったようなものが残った時、動揺してティルトになりやすいです。

ティルトは、ティルトになっているかどうかはっきり白黒つくものではありません。はっきりとした動揺でなくても、微妙に動揺している(グレー)ということはあります。ティルトになる時、自分がティルトになりかかっていることを大抵自覚できているのです。自覚できていて、「さっきのは定型的なティルトになるパターンの出来事だ、それが分かっているのだから冷静なっていれば大丈夫」と思っていても、少しずつ判断が鈍りだしたりします。「本格的なティルト」ではないけれども、「ティルト気味」になっているんです。その割合が徐々に増えていき、気づけば「本格的なティルト」になっていたりします。「ティルト気味」の状態から「本格的なティルト」になるまで、ティルトになっていると判断能力が鈍るのでなかなか気づけず、止まれません

予防

結果に依存しない事が重要なので、普段からレート・結果・環境・運などは気にしないようにします。また脳と精神を健康に保つ生活を心がけます。

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休憩する

一番良いのは、ティルトの兆候が見えた時、つまり何か悪い事が起きたと感じた時に、重症化する前にプレイをやめて一旦休むことです。負けたゲームやミスプレイを次のゲームまで引きずるから集中力が低くなり、判断力が鈍って負けがかさむという悪循環になるわけです。なので真っ白な状態で新たなゲームができるように、済んだことを忘れるまで時間を空けるべきです。

ただこれを行うのは簡単ではありません。ティルトは白か黒かはっきりしないので「まだ大丈夫」と考える場合があります。また、本格的にティルトになった場合、理性的な判断がしにくいので休むという判断ができなくなる場合もあります。なるべく早めに判断する方が良く、悪循環にハマりだすと抜け出しにくくなりますので注意です。

「何か自分にできることはあったか?」と問いかける

プレイ中、何か心に引っかかるような悪い事が起きた時(例えば戦闘で当たり運が悪くて負けた時など)、「それを避けるために何か自分にできることはあったか?自分に落ち度はあったか?」と自分に問いかけます

ゲームで理想的な状態とは、結果に左右されず理性的に判断して淡々と最善を尽くしている状態です。もし悪い事が起きたとしても、それに対して自分にできることはなく最善を尽くせていたのなら問題はありません。それを確認するための自問自答です。

これはティルトの予防にとても有効で、悪い事の連続がそれほど長く続いていない軽いティルトなら治ったりします。あまり長く悪い事の連続が続いていれば、「自分に落ち度がない」ことに確信が持てなくなるので効果は低くなります。

水をかぶる

動揺するような負けの後、物理的に体をリセットするのがおすすめです。顔を洗うか、面倒でなければ水シャワーが効果大です。ゲームで熱くなっている顔や首筋あたりを冷やせばスッキリします。

治療

本格的な重いティルトになった場合、一度プレイをやめて時間を置きます。空ける時間の長さは、過去のゲームのことを思い出さずに真っ白な状態で新しいゲームに集中できるようになるまでです。動揺が治ってきて考え事ができるようになれば、プレイを再開する前に以下のようなことを行います。

自分が悪いと認める

ティルトになって負けが多くなった時、最初の負けは運の悪さが原因だったかもしれませんが、その後に関しては判断力が鈍ってプレイの質が低下しているのが原因だったり、休むという判断ができなかった自己管理能力の不足が原因かもしれません。ティルトになっている時は冷静さを欠いて動揺しているので、そういった自分の落ち度に気づけなかったり、それを認められなったりします。

それを素直に認めることで、また真っ白なスタートが切れるようになります。結果に納得がいっていない、引っかかっているものがある、心が剥離しているような状態は、ふわふわとした現実感のない落ち着きのない状態(=動揺)です。原因不明の理不尽な被害を受けていると感じるから動揺するわけで、問題があってその結果が出ていると理解すれば落ち着きます。そうすると地に足が着いたような状態となり、過去のゲームを思い出したり未来の結果を想像したりすることなく、現在のプレイしているゲームに焦点が合うようになります。

感情を爆発させる

ゲーム中は冷静であるために感情をセーブします。負け続けているとき、抑えつけるネガティブな感情の量が多くなってそれが胸に溜まりすぎるかもしれません。そういった溜まった感情を爆発させて吐き出すのも有効です。例えば、好きな音楽を大音量で聞きながら「こんなに頑張っているのに上手くいかない、冗談ではない、悔しい」といった怒りなどの抑えつけていた感情を爆発させるとスッキリします。そうするとまたそういった感情を溜め込むタンクに余裕が生まれます。

環境への理解を深める

長く続く負けの原因は、運の悪さやプレイの質の低下だけではなく、勝てていた時とは求められるプレイが変わっているからかもしれません。根本的にプレイが良くない可能性です。アップデートがなかったとしても時間の経過と共に他のプレイヤーの理解度が変化することで環境が変わることはあります。その変化に対応せずに取り残されて同じプレイを続ければ、環境への理解が不足して悪いプレイをしている状態になります。そうならないためには、情報を収集したり、負けたゲームのパターンを思い出して何が悪かったのか振り返ったりして認識を改める必要があります。

上手くいっている時のプレイスタイルを真似する

上手くいっている時のプレイスタイルを覚えておき、それを真似するのも有効です。型だけでも真似すれば、感情もそれにリンクして良い状態に近くなるかもしれませんから。以下は例です。

上手くいっている時

  • 頭の中で独り言を多く言っている。「これはそこまでではない。これはまあ良い」のような感じ。
  • ゆっくりじっくり細かいところまで考えている。
  • だるそうに無関心に淡々とやっている。左手で肘をついて頬に手を当ててぼんやりと考えている。
  • 悪い状況でも自分の盤面を笑って見ている。「どうするの?これ」と考えたりしてふざけながら見ている。自分のこととして深刻に捉えておらず、他人事のように客観的に乾いた見方をしている。

上手くいっていない時

  • 戦闘での当たり方、勝ち負けを気にする。
  • 他プレイヤーのエモートが気になる。
  • 既に終わった過去のゲーム・ミスや未来の結果を気にして、その盤面、現在に焦点が合っていない。プレイについて考えることに集中できていない。

予後

治療が進むと正常なプレイを取り戻せて、また勝てるようになります。そうすると自信を取り戻してプレイの軸が揺れなくなって安定します。勝てることで心理的に余裕が生まれるので冷静さや集中力が高まってプレイの質は高くなり、さらに勝てるようになる好循環です。

ただティルトから治りかけの状態、つまり嫌な体験をまだ覚えていてフラッシュバックするような状態は要注意で、まだしばらく休んだ方が良いです。無理をするとぶり返して、また治療のやり直しになって長引いたりしますから。風邪と同じです。