テンポとバリューのバランスが大切【ハースストーン バトルグラウンド】

テクニック

テンポとバリューという概念とそのバランスを取ることの大切さについて説明します。これを理解していないと、体力に余裕があるのに短期的な視点を重視したり、死にかけているのに長期的な視点を重視したりしてトンチンカンなプレイをしてしまいます。テンポとバリューのバランスを取る意識があれば変な方向に進まない安定したプレイができます。

テンポ・バリューとは?

カードゲームの説明で多用される概念です。

テンポとは、心臓の鼓動のようなもの

テンポとは、どれだけ全力を出しているかの度合い、例えるなら心臓の鼓動のようなものです。走る時に心臓の鼓動を極限まで速めてスプリントすれば、短時間は速く動けますがすぐに限界がきます。逆にゆっくりとマラソンのようなペースで走れば、遅いですが長く走れます。その心臓の鼓動が速いスプリントっぽい状態をテンポが良い、心臓の鼓動がゆっくりのマラソンっぽい状態をテンポが悪いと表現します。

バリューとは、走行距離のようなもの

バリューとは、最終的に得られる成果の大きさ、例えるなら走行距離のようなものです。マラソン40kmのような長距離ならバリューが高い、100mのような短距離ならバリューが低いと表現します。

テンポとバリューは反比例する

テンポとバリューは反比例します。テンポ良くスプリントするとすぐに息切れして走行距離は短くなり、バリューは低くなります。逆にテンポ悪くマラソンのように走ると、走行距離は長くなりバリューは高くなります。これをバトルグラウンドに置き換えると以下のようになります。

テンポが良い・バリューが低いテンポが悪い・バリューが高い
短期的な視点長期的な視点
謙虚貪欲
その瞬間に最大に強くなる将来的に最大に強くなる
コインの使用効率が悪くても気にしないコインの長期的な使用効率を重視
延命する勝ち筋になる
その場限りの使い切り長く使える
ぐちゃぐちゃ方向性が定まる
酒場グレードを上げない酒場グレードを上げる

大切なのはテンポとバリューのバランスを取ること

バトルグラウンドというレースでは「ゴールがなく、他のプレイヤー集団から一定距離(体力が0になるほど)を離されたら死ぬ」というルール。つまりゆっくり走りすぎる(テンポが悪すぎてバリューが高すぎる)と集団から引き離されて死にます(足切り)。かといって最初から飛ばしすぎる(テンポが良すぎてバリューが低すぎる)といずれ息切れして付いていけなくなって死にます。大切なのは、天秤を水平にするようにバランスを取ることです。

知識・テクニックに詳しければ、強い心臓(速く走れる)や良いフォーム(長距離を走る方法を知っている)を持っているのと同じです。でもそれだけではレースに付いていけません。バランスを取らないと足切りされたり息切れしたりするので、そこを意識します。

テンポとバリューは他のプレイヤーとの相対的なもので、他のプレイヤーがテンポを重視して一気に引き離して振い落とす短期決戦を仕掛けてきたらそれに付いていく必要が出たりします。そうでないと余力を残したまま(バリューを抱えたまま)負けます。バランスを取りつつ、どこでテンポを重視してどこでバリューを重視するのか(スパートをかけて先に他のプレイヤーを引き離す、もしくはずっと風除けに使って最後に追い抜く)を判断する力、これは大局観や経験からくる直感です。

具体例

テンポとバリューの天秤はずっと水平に保ったまま進めるというよりは、ワンプレイまたは一定時間が経過するごとにどちらかに傾いては戻し、傾いては戻しを繰り返すイメージです。なので今どちらに傾いていて、どのプレイをすれば水平に近くなるのかを意識します。

例えば、酒場グレード4の状態でトリプルを組んで報酬の「発見」から《ブラン・ブロンズビアード》と《アニヒランのバトルマスター》が出たとします。

《ブラン・ブロンズビアード》は、テンポが悪くバリューが高いミニオン。《アニヒランのバトルマスター》はその逆です。どちらを取るべきかはその時の残り体力によります。もし体力が低くなっていたら、それまでバリューを重視しすぎていて、以降はテンポを重視すべき、つまり《アニヒランのバトルマスター》を選ぶべきです。その逆なら《ブラン・ブロンズビアード》。

もし「テンポを重視してきたのに体力が低い」としても、「他のプレイヤーと比べて相対的にテンポを軽視している」という結果が、運も絡んだ総合的な評価として体力に反映されていると捉えます。

もし天秤がどちらに傾いているか分からなかったら、どちらを選んでも問題ないです。大切なのは天秤が傾いた後にバランスを取って水平に戻すことですから。

《ブラン・ブロンズビアード》を選ぶなら、バリュー重視に天秤が傾くのでそれ以降はテンポ重視にすべきです。つまり酒場グレードを上げずに急いで盤面を強くせねばなりません。《アニヒランのバトルマスター》を選ぶなら、テンポ重視に天秤が傾くのでその後はバリューを重視できるようになります。つまり盤面が強いので安全に酒場グレードを上げてからバリュー(勝ち筋)を探せます。盤面をどのタイミングで強くするかという違いです。

注意すべきなのは、テンポ重視にして即死することはなくても、バリュー重視にすると即死する場合があることです。テンポ重視であれば、レースで集団から先行して飛び出るだけで、息切れしても追いつかれるだけですぐに取り残されて死ぬわけではありません。バリュー重視だと集団から遅れて一定距離を離された時点でアウトです。つまり《ブラン・ブロンズビアード》でテンポ重視のプレイが間に合わなければ即死するんです。

ミニオンの選択を例にしましたが、プレイにもテンポとバリューはあります。つまりコインの使用効率や盤面をロックするかしないかです。テンポ重視であれば、コインの使用効率が悪くなったり次のターンに動きにくくなったとしても、盤面を最大に強くします。バリュー重視であれば、手札にミニオンを抱えたまま戦闘フェイズに入ったりします。

ヒーローであれば、例えば《希望の終焉ヨグ=サロン》はテンポが良いヒーローなので、後になってバリューを重視できるようになります。《エドウィン・ヴァンクリーフ》や《アレクストラーザ》であればバリューが高いので、最初はテンポを重視すべきです。