酒場グレードをいつ上げるのかはゲームの勝敗を左右する重要なポイントです。他のプレイヤーの酒場グレードを上げるペースについていかないといずれミニオンの質で劣るようになり、上位4人に入るレベルの強さに達せません。かと言って相手より先に酒場グレードを上げると大ダメージを受けて致命傷になることもあり、そこにジレンマがあります。それを解決するために酒場グレードを上げるときは雇用フェイズが始まったらすぐに上げると良いです。そのことについて説明します。
自分と対戦相手との行動比較
悩むことが多いシチュエーションの例は以下の通り。
- 7コインのターンに4コイン支払って酒場グレード3に上げるか
- 9コインのターンに6コイン支払って酒場グレード4に上げるか
- いつ酒場グレード5に上げるか
例えば酒場グレード3に上げるか悩むターンを例にすると、2つの行動があります。
- 酒場グレード3に上げて、グレード2のミニオンを1体買う
- 酒場グレードを上げずに、グレード2のミニオンを2体買う、1回リロール
自分と対戦相手のお互いの行動パターンでの戦闘の勝敗と自分のヒーローへのダメージ期待値は以下のようになります。酒場グレードを上げた側はミニオンが1体少ない状態になるので負けます。勝って相手に与えるダメージの大きさに関しては考慮していません。終盤でなければ7人の相手のうちの1人に自分が大ダメージを与えることは、自分がダメージを受けないことの重要さに比べたらあまり意味がないからです。同じ酒場グレード同士の戦闘では接戦となりヒーローへのダメージは5、違う酒場グレード同士の戦闘では大勝または大敗となりヒーローへのダメージは10としました。
相手:酒場グレードを上げる | 相手:酒場グレードを上げない | |
---|---|---|
自分: 酒場グレードを上げる | 50%で勝って0 50%で負けてー5 期待値 ー2.5 (A) | 100%で負けてー10 期待値 ー10 (B) |
自分: 酒場グレードを上げない | 100%で勝って0 期待値 0 (C) | 50%で勝って0 50%で負けて−5 期待値ー2.5 (D) |
相手の行動に関係なく、自分は「酒場グレードを上げない」選択の方が戦闘結果の期待値は当然良くなります。つまり(A)と(C)、(B)と(D)をそれぞれ比較した場合です。そうしてお互いのプレイヤーが酒場グレードを上げなかった場合は(D)となります。これは逆にお互いに酒場グレードを上げた場合の(A)と同じ期待値となっています。ですのでお互い酒場グレードを上げずに戦闘したペアと上げて対戦したペアであれば、同じ体力の消耗で将来的にベスト4を狙いやすくなるのは酒場グレードを先行して上げられた後者のペアということになります。
自分と相手がお互いに酒場グレードを上げた戦闘で仮に少し負けてダメージを受けるのはそれほど痛くありません。つまり(A)と(C)であれば、実際には「酒場グレードを上げられるメリット」があるので(A)の方が良いのです。自分が酒場グレードを上げずに、酒場グレードを上げた相手に大勝するメリットはあまりありません。嫌なのが(B)で、大ダメージを受けてしまうことです。
酒場グレードを上げるか迷ったときは次の対戦相手が酒場グレードを上げているかチェックします。もし上げていないのであれば(B)になる可能性が出るのでこちらが酒場グレードを上げるのは少し怖くなります。もし相手がすぐに酒場グレードを上げていれば、こちらも安心して酒場グレードを上げられます。(C)よりは(A)の方が良いので、相手が上げていたら自分も上げて良いのです。でも実際には(B)が怖くて本来お互い取るべき選択が取れなくなってしまったりするんですね、ジレンマです。
酒場グレードをすぐに上げて相手にそれを伝える
このようにお互いに疑心暗鬼になって取るべき選択が取れない状態を緩和するには、自分からすぐに酒場グレードを上げることです。対戦相手もこちらが酒場グレードを上げているかどうかをチェックしていますし、酒場グレードを上げるとアイコンで強調表示もされるので相手に自分が酒場グレードを上げたことが伝わります。
そうすれば相手に「こちらはひどいことはしませんよ」というメッセージになります。相手が迷っていた場合、疑心暗鬼にならずに酒場グレードを上げてくれるかもしれません。少なくとも必死に勝とうとするのではなく長期的な視点でプレイする可能性(=こちらが大敗しない可能性)が高まります。無駄にお互いに疑って(D)になって最終的に下位に沈むのではなく、(A)になって一緒に上位を目指そうという提案です。相手にも制限時間があるので、酒場グレードを上げるのであればこの宣言は早いほど良いです。
ただ対戦相手が最下位などで極端に体力が減っている(25くらい)場合はこれは通用せず、がむしゃらに盤面を強くしてくる時があるので注意です。
最終的には倒さねばならない対戦相手ですが、上位4人(または最後の2人)になるまで序盤のうちは対戦相手とは結託して長期的な視点でお互いに戦力を整えていけると理想的ですね。
余談ですが、実際に自分がすぐに酒場グレードを上げてそれに呼応するように対戦相手も上げてくれると意思疎通ができたようで楽しいですよ。この辺りはボードゲーム「カタン」での交渉なんかに似ていて、多くの人数で遊ぶゲームならではの奥深さです。